私が入院した日に既にいらした2名の内、1人が退院し1人が入ってきた。
そして先のもう1人も退院して、また1人入ってきた。2名が別の2名に入れ替わった。
そしてこの4人部屋に4人目も来たが、その人は私よりも先に退院した。
そしてまた2人が退院する。
私の入院中に後から来て先に退院できる人達がいるのを実際に見て、自分の手術がこの科の中でかなり大きい部類だと言われていたのを改めて感じた。
ああ、もしかして私はこの部屋の最後の1人になるのかもしれないと、取り残される事を密かに想定した。
でも昨日、また1人増えて4人になって。
そして今日、2人が退院して行った。
内1人は数日前に私が水の入ったカップをぶちまけた時に拾ってくれたお姉さんで、出ていく間際に私の所へだけ遠慮がちに声をかけながらカーテンを少し開けて「今日退院します」って笑顔で挨拶をしてくれたのが、すごく嬉しかった。退院おめでとうございます、どうか、どうかこれからの人生を健やかに生きてください、優しい人。
そして、そうか私の方が、昨日来た人を置いて行くのかと思った。
そしたらさっき、新しくまた入室者が来た。
実際にどうなのかはわからない。ただの偶然かもしれない。ベッドが空いている別の大部屋は他にもあった。でも、この環境の中で、大部屋では『誰も孤独になる事がない』ように部屋割りを組まれているのだとしたら。
ベッドは空いている方がいい。
埋まらない方がいい。
誰ももう入ってこない方がいい。
でももしその配慮がなされているのなら。
私がいなくなった後にでもまたすぐにこの隣の空きベッドを使う人がいるのなら。
それはそれで良いな、と、思った。